犬と猫の乳腺腫瘍と避妊

犬と猫の寿命は、栄養状態の改善や、飼育環境の向上によって飛躍的に延び、20才を超える長命な犬猫も現われてきました。しかし寿命が延びた一方で、腫瘍に侵される犬猫が増加しつつあります。

 腫瘍の発生を人間と比較してみると、犬では2倍、猫では1/2といわれ、特に高齢の犬における腫瘍の発生率が高いようです。また10才以上の犬の45%は悪性腫瘍(癌)で亡くなっていると考えられています。

 犬における乳腺腫瘍は、6~7才を過ぎると増加してきます。
乳腺腫瘍の発生する平均年齢は10才で、その50%は乳腺癌です。

 犬や猫の乳腺癌は人間と比べて進行が早く、発生後数か月で転移し死亡します。
犬の乳腺腫瘍はホルモンによって誘発されると考えられており、避妊手術で発生が抑えられることが分かっています。

 乳腺腫瘍の発生率は、初回発情前に避妊手術をした場合は1%、初回発情後の場合は4%、2回目の発情以降の場合は25%と、早期に避妊手術をすることによって低下する傾向があります。そのため、子犬を産ませる希望がなければ、初回発情前に避妊手術されることをお薦めします。

 猫の乳腺腫瘍は8才以降で発生しやすく、その70~80%は乳腺癌と考えられています。また避妊していない猫における乳腺腫瘍の発生は、避妊済みの猫の約7倍とされています。猫における乳腺腫瘍の99%は避妊手術をしていない猫で発生するため、猫では若齢期に避妊手術されることをお薦めします。