甲状腺機能亢進症

 10月に入り、日中はまだまだ暑い日もありますが朝晩の空気は冷たくなってきました。
季節の変わり目ですが、みなさん、そしてご家族である動物たちは体調を崩したりしていませんか?
とくに高齢の動物にとって急な気温の変化は体にこたえます。いろいろ工夫をして、これからの季節を快適に過ごせるようにしてあげてくださいね!
 今回は猫に多くみられる内分泌疾患、甲状腺機能亢進症について紹介したいと思います。

 まず、甲状腺といってもどんな器官なのかぴんとこない方も多いでしょうから簡単に説明すると、甲状腺は首の下の方にあり、甲状腺ホルモンを分泌している器官です。
甲状腺の分泌するホルモン(サイロキシン、トリヨードサイロニン)は全身的な代謝に関わっています。この、甲状腺ホルモンが何らかの理由(甲状腺の腫大や、甲状腺がんなど)で多く分泌されてしまうのが「甲状腺機能亢進症」であり、主に中~高齢の猫で多くみられます。
猫の場合、9割は甲状腺の腫大によるもので、残りはまれですが甲状腺がんによるといわれています。
犬でも甲状腺機能亢進症はみられますが非常にまれであり、甲状腺がんによるものと甲状腺ホルモンを過剰に与えられたために生じたものがあります。

 甲状腺ホルモンは体のいろいろな所に作用して代謝を活発にします。
心臓に作用して心拍数を増し、全身的なエネルギーの消費を増し、胃腸に作用して腸の運動を活発にする・・など。
ホルモン量が多くなると、この作用がより強く現れ、体に悪影響を及ぼすようになってきます。
心臓では心拍数が上がりすぎたり(頻拍)、心臓の筋肉が厚くなってくる(心肥大)、エネルギー消費量が増えるため、食欲は増すのに腸の動きが活発になりすぎるためと脂肪の吸収が減るため下痢するようになってくる、被毛の抜けかわりが活発になりすぎて異常に脱毛する・・やがて、全身が酷使され、衰弱していきます。

 こう書いてみるととても恐ろしいことが体の中で起こっているのですが、甲状腺機能亢進症の猫に特有な症状があるのか?というと、これといった症状がなく、病状が進むまでは「何となく痩せてきたけれど食欲はある。水もよく飲むし活発に動く。むしろうちの子は年のわりに元気にしている」と思われがちです。また、どことなくおかしいかな?と思い動物病院で一般的な血液検査をしてみても大きな異常があらわれることはほとんどありません。

 では、どうすればいいのでしょう?
答えは簡単!血液中の甲状腺ホルモン濃度を測定し、正常な範囲を超えていればこの病気を診断することができます。
甲状腺機能亢進症かな?と思われるような症状が出ている猫はもちろん、症状の出ていない7~8歳を過ぎたいわゆる高齢期の猫でも、予防的に検査をしておくとこの病気の早期発見につながると思います。

詳しくはかかりつけの動物病院の獣医師にご相談ください。